仙台ローズガーデン
障がいのある人もない人も、
ともにみんなが生きがいをもって歩んでいける場を。
仙台ローズガーデンは、2003年に仙台のシンボルである泉ヶ岳を望む泉区北中山の住宅地にオープンした施設です。バラやガーベラの栽培・出荷作業を通して、知的障がい者の自立を支援しています。施設に入ってすぐ左手には、事務室や食堂、地域交流センターを含む一階建ての「管理棟」が建ち、ほぼ正面には、花束やフラワーアレンジメントを販売する「店舗(ガーデンショップ&カフェ)」と「作業棟」があります。その奥に見える「温室棟」は3400m²の広さがあり、内部は大きく育苗温室、バラ温室、ガーベラ温室に分かれています。
仙台ローズガーデンは「開かれた施設」を目指しており、障がいがある人でも作業を通じて経済的・社会的自立が出来るよう支援しております。
お花の栽培・設備について
先進的な設備と栽培技術を導入し、
1株単位で花を管理しています。
仙台ローズガーデンでは「ロックウール栽培」によって花を育てています。花の苗をロックウールと呼ばれる素材に植え付けて、一株単位で管理。その株の並んだベットは一列ごとに銀色のシートでくるまれており、中を通るパイプから、肥料を配合した水が供給される仕組みです。この栽培方法には大量の水が必要ですが、温室の屋根から樋をつたって地下のタンクに集められた雨水が利用されています。ベットはパイプを組んだ上に乗っているため、利用者と支援員は地面に屈み込むことなく作業ができるようになっています。足元はほとんどがコンクリートになっており、作業の際の移動も容易です。
防除もほぼ自動化されています。天井から吊り下げられたパイプが、ポットの列の間を移動しながら防除液を散布します。また、上を見上げると二種類のスクリーンが、自動で伸縮して温室内の環境を保持している様子が見られます。一枚は遮光用であり、もう一枚は遮光に加えて、保温と、屋根からの結露の落下防止の役割を担っています。
なお、設備ばかりでなくバラの栽培法にも最新の技術が導入されています。枝をペンチで適度につぶして折り曲げてしまい、新しく出た枝芽を出荷用の切り花に育てています。倒伏させた枝には花は咲かせず、葉が光合成を行うことで新しい枝に養分を補給する仕組みです。
質の高い花を出荷するために
最新の設備によって自動化されている一方で、質の高い花を出荷するため、一本一本枝を折り曲げるなどの細かい作業が行われています。必要のない芽や花、つぼみを取る作業。収穫、選花作業。花束やアレンジメントを作成する作業。製品を箱詰めして 荷札を貼る作業。清掃作業。
こうした日常的な作業に加えて、仮植、定植、枯れ枝切りなど、人の目と手を必要とする仕事は数多く、これらの作業に、18歳から40代後半までの利用者たちが、支援員と共に取り組んでいます。一人ひとりの利用者の適性や実情に合わせて作業内容を考え、お互いに声を掛け合ったり、真剣な表情で作業に集中したりと、生き生きと働いています。
仙台ローズガーデンが目指すもの
仙台ローズガーデンは福祉的就労の場を提供するもので、最終的には利用者が「ここを巣立って一般就労を果たす」ことを目的としています。作業内容を理解したうえで自分の役割を果たし、用具・道具の準備から後片付けまでを責任もって行えるようになることで、他の職場でも能力を発揮できるようになることが期待されます。
もちろん仙台ローズガーデンでも、障がい者が自立に要するだけの額を支給できることを目指しています。個々人の年金収入を考えに入れても、もちろんその実現は決して容易ではないです。
仙台ローズガーデンでは、生産した花卉を一般の市場に出すのではなく、店舗での販売、卸・後援会の方々への配布に使用しています。
理想と使命と支援の基本方針
理想と使命
- 障がい者が経済的・社会的に自立できる環境の創出
- 障がい者の親・保護者が安心できる環境の創出
- 役職員・支援者が生きがいと誇りを持てる環境の創出
- 市民・地域住民が感動し誇りとする環境の創出
- 日本の先進的モデルであり続ける環境の創出
支援の基本方針
- 就労支援作業を通して利用者・職員がともに真摯な気持ちで自然を愛し、育み働く喜びを分かち合い利用者の自己実現を支援する。
- 就労支援作業と一連の作業工程において、利用者一人ひとりがかけがえのない人として充足感のある経済活動を行えるように支援する。
- 就労支援作業を通して、地域の方々の理解と協力を得て、良好な人間関係を構築し、利用者の生活体験が豊かになるように支援する。
利用者の生活の質を追求する
仙台ローズガーデンは、利用者にとって働く場であるとともに生活の場でもあります。
食堂は広く、普段は80ほどある席のすべてが埋まることはありません。たとえ満席になっても、なお余裕を感じさせ、利用者と支援員はゆったりと給食を楽しむことができます。食堂は床をはじめとする内装だけでなく、テーブルや椅子にも柔らかい色調の木肌が生かされ明るいです。日中は大きな窓からふんだんに差し込む光が、夕刻には天井から下がるシャンデリア風の照明が、料理と人々の笑顔を彩ってくれます。